atelier SUETOMO

PROCESS5 ~ハンダ

ここではカパーテープ(銅テープ)技法のハンダについて書きます。

ステンドのハンダは、最も作品の美しさを左右する工程と言ってよいと思います。
これまでの工程の精度がいくら完璧であっても、ハンダの仕上がり具合で、台無しになってしまう、ということです。
逆に言うと、これまでの工程が多少歪であっても、ハンダが美しく出来れば、そのマイナス分を少しはカバー出来るということです。もちろん、限界はありますが…。

ハンダの美しさは、均一量に盛れていること、シワが少ないことで決まると私は考えています。
均一にしてやることで、自ずとシワも減ってきます。



盛り具合は、盛り気味、少なめ、と、人それぞれ、好みが若干あるように思いますが、「適量」の範囲であることが大切です。
少な過ぎると強度に問題がありますし、逆に線が太く見えます。
多過ぎると、銅テープのラインよりはみ出て、デザインのラインが潰れて丸くなり、シャープさが失われてしまいます。



均一でシワのないハンダは、光沢の方向の乱れが少ないはずです。

少し意識するだけで凄く変わるはずなのですが、くっつけばいい、埋まればいい、と、ハンダを「美しく仕上げる」ということに、あまり重きを置いてない作家さんもおられるようです…。

個人的には、曲面に於いて、太めで数本のラインが一点に集中するとことろなど、まだまだ技術が必要だと思っています。精進あるのみです。


PROCESS6 では ~仕上げ~ について書きたいと思っています。
PROCESS4 ~テープ巻き

テープ巻きというのは、ガラス1ピース毎に、そのアウトラインに銅で出来たテープを巻き付けていく工程です。薄い銅(約0.05mm)の裏にノリが付いた、セロテープを銅で作ったような感じのものです。
テープ巻き次のプロセスである、ハンダ付けで、ガラス同士をくっつけていくのですが、このハンダ(錫と鉛の合金)は、ガラスには付かず、この銅の部分にのみ、溶着され、ガラスをつないでいきます。
つまり、この銅で巻かれた部分が、デザインのラインになるということです。作品によっては数百、数千あるガラス1枚1枚に巻いていくという気の遠くなる工程ですが、雑に巻くと、仕上がりのラインにそのまま影響が出ます。他にも、粗っぽく巻くと薄い銅テープが裂けることがあり、そこにハンダをすると、その部分だけハンダが乗らず、結果的にラインが分断されてしまいます。

写真、左側は丁寧に均等幅で巻いたもの、右側は粗っぽく巻いたものです。右側はテープが裂けたり、きちんと なめしていないので、表面にシワがよっています。このような巻き方では美しい作品には到底なりえませんし、強度にも問題が出てきます。

ガラスのテクスチャーによっては、このテープ巻きが非常に困難な場合もあります。表面のデコボコしたもの、ガラス自体が大きくうねっている物などです。でも、銅は非常にやわらかく、なめすことで伸びる素材なので、丁寧に作業すると、ガラスの曲線に綺麗に沿います。

安価なものや、作家作品として店頭に並べられているものでも、この工程が凄まじく酷いものがあり、購入する上で気を付ける注意点とも言えるでしょう。
PROCESS3 ~カット・研磨 

ガラスカットは最も技術が必要とされる工程です。
基本的に直進しようとする割れ目をカーブさせるわけですから、スコアを入れる角度、割るときの力の加え方、方向を感覚で覚えていく必要があります。「ガラス」と一括りに言っても、その質感は実に様々です。割りやすいもの、割りにくいものが存在します。同じ型番であっても、板によって差が生じることもあります。
多くガラスを切っていると、ガラスの声なき声を聞くことが出来るようになります。「もう少し力を加えても大丈夫」「それ以上、今の方向で力を加えると違う方向に割れてしまう」等々。それらは音、手に伝わる僅かな振動で聞き取ることが出来ます。ですが、中には「黙して語らず」の板もあり、苦労することもあります。そういう時は自分の感性が鈍っているのかもしれませんが。

出来るだけ型紙に沿わせてガラスをカットし、その後、研磨 ( ルーター) で形を整えていきます。ここにかける時間、手間は最も多いかもしれません。
型紙と寸分狂わず合わせていきます。
私の作品はピース数が多いので、例えば1ピースにつき0.5mmの誤差でも10ピース先にはそれは5mmの誤差となり、作品の精度を保つのは不可能となります。ある程度の誤差はハンダや、その他のテクニックで誤魔化すことは可能ですが、その精神は最終的な仕上がりで、歴然とした差となって出ると思うので、出来るだけ、誤差0を目標に削っています。
(写真は左/研磨前・右/研磨後)
PROCESS2 ~ガラス選び

ステンドグラスは基本的に既製のガラス板を使って制作するものです。
もちろん、イメージに合うガラスを求め、オーダーメイドしたり、自分で吹きガラスをされたり、窯を使ってガラスを作られるかたもおられますが、ごく希です。

ステンドグラス用として作られているガラスは、なんと数千種類もあります。私も、その全てを目にしたことはありませんし、次々と新作が出てくるので、それは不可能であると思います。そして、価格も30cm角あたり、数百円~数万円の幅があります。
何においてもそうですが、「高価」=「良い」 とは限りません。すなわち、「安価」=「悪い」とも言えないのです。また、高価な美しいガラスを使ったからと言って、素晴らしい作品が約束されたわけではありません。 肝心なのは、それがデザイン上、適当かどうか、つまり作品に違和感を感じさせないことだと思っています。
そして、そこに、質感であったり、色味であったり、その時々の好みも加わります。

デザインの段階で、おおよそガラスは決めていますが、実際にカットに入る前には、やっておくべきことがあります。
基本的なところでは、ガラスがうねっていないかどうか、大きな傷がないかどうか、大きな気泡が入っていないかどうか。もちろん、購入の時にチェックしますが、あらためて電球の光を通して端々までチェックします。

次に、透過度、反射度を見ることです。ひとつの作品に数種類を使う場合は、全ての使用するガラスを電球の前に並べ、チェックします。人間の目はご存じの通り、カメラの絞りと同じく、瞳孔で光の入ってくる量を調整します。光がよく透るガラスの横に、透らないガラスを持ってくると、より暗く見えてしまいます。逆も然りです。その面積比によって見え方も全然違ってきます。2つの画像は同じガラスですが、同じ光の条件のもと、面積を変えるだけでこれだけ見え方が違います。そのあたりのバランスを微妙に考えながら、位置を変えたり、ガラスを変更したりします。この段階でガラスの見え方を優先して、デザインを変更することも時々あります。

最後に、この工程は時に1番になることもあります。つまり、ガラスからインスピレーションを得て、デザインを考える、ということもあります。
PROCESS1 ~デザイン

作品に関して、よく聞かれることの一つとして
「どのようにして、デザインを思いつくのですか?」 という質問があります。
一番尋ねられることなのに、残念ながら、一番うまくお答えすることが出来ません。

作品に、よくタイトルを付けたりする方が多いと思うのですが、私はそれもしません。何か、具体的なイメージや、自分の内なる思いなどを元にデザインすることは、まずないからです。

では、何を考え、デザインをするのか…。
強いて言えば、心地よさの追求でしょうか。「可愛いな」「面白いな」「キレイだな」「カッコイイな」という、ごくごく単純なものを組み合わせて、より自分にとって心地よく感じるものを作り上げてあい、という作業になります。

なので、デザインの全てがオリジナルなわけではありません。
盗作という意味ではなく、自分が今まで見てきたもの、例えば古くからある伝統工芸のフォルムや、文様、壁面を飾るタイルパターン等々、心地よいと感じたものを自分の中で再構築して作品にいかすことが多いです。
また、光と影、反射、電球の種類、目の錯覚によっておこる現象、ガラスのテクスチャーなどもデザインの要素となります。

デザインのほとんどは「落書きのようなメモ」に始まります。
立体物は落書きをハサミで切って簡単に組み立て、自分のイメージが可能かどうか確認してから、イラストレータなどを使い、パソコンで図面を起こし、紙で模型を作成します。この段階で、光源の位置を探ったりなど、いかに効果的に作品を見せるかを模索します。一つの作品で数個模型をつくることもあります。その後、最終的な製図を行います。

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